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ラムサール(イラン)の真実

 世界には自然放射線が非常に高い地域があることはよく知られている。中国広東省陽江、インドのケララ、ブラジルのガラパリなどが有名であるが、中でもイランのラムサールが最も高く、平均で日本の24倍である。つまり、福島の高放射線地区以上の自然放射線に常時さらされているのである。そればかりではなく、地域によっては年間260ミリシーベルトにもなるのである。
 1ミリシーベルトが、体に悪いとか、土壌の除染作業を大金をかけてやろうとかしている国の人からしたら、そんなところに住んで大丈夫なのか、すぐにでも避難すべきだ、と言いたくなるだろう。でもこの人口3万余のカスピ海に面するラムサールの地は、風光明美なだけでなく、どちらかというと長寿の人の多いところと一般にいわれている。
 そういうデータもあるということを聞いてはいたが、このほどチャールズ・サンダース博士の著『放射線ホルミシスとLNT仮説』(Radiation Hormesis and Linear-No-Threshold Assumption)という本で、ラムサールのことを研究した論文が、いくつかあることを知った。4つほどの論文の結論は、1)高放射線の有害な影響は観察されない、2)ガン発生率が高いというデータはない、3)むしろ発生率が低くなっている調査結果がある、4)高放射線地区の方がむしろ肺ガンの発生率が低いという調査結果が出た、といったものである。
 4つの研究論文の概要は、次の通りである。

  1. 「ラムサールの高自然放射線地域:住民は安全と感じているのか?」
    7人のイランの大学(主としてバボル大学)研究者の共同研究
    2006年、International Journal of Low Radiation 誌に発表。
    結論:高い放射線地域の住民に有害な影響は認められない。従って、LNT仮説による予測は事実に合わない。
  2. 「自然放射線上昇地域でのガンの発生率」
    6人の学者(イラン・アメリカ・日本)の共同研究
    2006年、International Journal of Low Radiation 誌に発表。
    結論:高放射線地域でガンの発生率が高いというデータはない。むしろ発生率が低くなっている調査結果がいくつもある。これは、自然放射線が、抗酸化酵素やDNA修復酵素を増加させ、染色体異常を減らし、ガン発生率を減少させているものと思われる。
  3. 「ラムサールの非常に自然放射線が高い地域での新しい発見」
    4人のイランの学者の共同研究
    2005年、International Congress Series に発表
    結論:これまでのところ、ラムサールの高自然放射線地域において、ガンの発生を示す信頼できるデータはない。さらなる総合的な調査が必要である。
  4. 「ラムサールにおける住民が高放射線ラドンに被曝した場合のガンのリスク」
    3人のイランの学者の共同調査
    2005年、International Congress Series に発表
    結論:ラムサールの8つのラドン放射線レベルの異なる地区で、2年間にわたり、肺ガン調査を行ったが、最も放射線レベルの高い地区のガン発生率は、他の地区よりも低かった。自然のラドン放射線のレベルと肺がん発生との間には、ネガティブな関係=背反関係があると結論できそうだ。

 年260ミリシーベルの環境下で、妊娠し、幼少期を過ごし、成人し、老年を迎えるラムサールの人々は、ガンに侵されるどころか、むしろ相対的にガンが少ない状況にあることは、ほぼ間違いない。となると、年間100ミリシーベルトいう基準は、超安全基準ということに常識で考えればなってくる。浪江を含む福島の全地区は全く避難をする必要はない、ということになる。
 よく、ホルミシス論者は自分の都合のよいデータばかりを使うという人がいるが、3万もの人が安全に暮らしている「絶対的な事実」は、普遍的な科学的なデータである。これを無視する人こそ都合のよいデータを勝手に引用して放射能恐怖を煽っているということなのだ。(事務局長:茂木弘道)