カテゴリー

20ミリシーベルト以下で安全 規制委が指針(読売新聞記事)

原子力規制委員会が、東京電力福島第一原子力発電所事故で避難している住民の帰還に関し、1年間に被曝(ひばく)する放射線量が20ミリ・シーベルト以下であれば、健康上に大きな問題はないとする指針を今月中にまとめることがわかった。

 政府が長期目標として掲げる「年間1ミリ・シーベルト以下」が安全の目安ととらえられているため、科学的な知見を示して不安の払拭を図る。指針には20ミリ・シーベルトでは発がんリスクが十分に低く、適切な対策を取れば、リスクは回避できるとの見方が盛り込まれる見通しだ。

現地調査を行った国際原子力機関(IAEA)も10月、年間1~20ミリ・シーベルトの被曝線量は許容できるとした報告書をまとめている。

指針を受けて、政府は正確な線量を把握するため、携帯式の個人線量計を配布する。保健師などが住民の健康相談に乗る「帰還支援センター(仮称)」も各市町村に設置する方向だ。

2013年11月8日03時06分  読売新聞
この点について、日本放射線影響学会のホームページから、質疑応答の形で述べているものをいかに引用いたします。

Q8 どの程度の線量から影響がでるのですか?

放射線の生体に対する危険度は、原爆被爆者の疫学調査の結果をはじめ、多くの動物実験や生物学的実験で積み重ねられた研究成果から推測されています。積み重ねられた研究成果は、世界保健機関(WHO)の科学委員会、国際連合科学委員会(UNSCEAR)や国際放射線防護委員会(ICRP)で定期的に調査され、その結果を総合的に検討して危険度が推測され、放射線の影響が出ない放射線被ばく限度が提案されます。その結果を受けて、放射線の危険を避けるための規則が作られています。現在、一般人の被ばく限度は、年間1,000マイクロシーベルト(=1ミリシーベルト)ですが、この値には自然の放射線被ばくと、医療で受ける放射線被ばくは含まれません。ちなみに日本人が受ける平均自然放射線量は年間1,500マイクロシーベルト(=1.5ミリシーベルト)程度です。また、放射線業務に従事する人では年間2万マイクロシーベルト(=20ミリシーベルト)という被ばく限度が採用されています。放射線業務に従事する時は、その規定にしたがって、年間の被ばく量をそれ以下にするように厳密に管理されていますが、そのレベルの被ばくで明らかな健康への影響は認められていません。なお、これまでの様々な解析でも、年間10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)以下の被ばくでは健康影響の有無は明らかでないとされています。

 

掲載日:平成23年3月15日、平成23年3月22日改訂、平成23年3月24日改訂、平成23年4月10日改訂、平成23年12月28日改訂

 

*「年間100ミリシーベルト」について:短時間に大量の被ばくをした原爆被爆者において、100ミリシーベルト以下では「がん」の有意な増加が見られないこと、および、同じ総線量でも線量率が低ければ生体への影響は小さくなるという事実に基づいて、「1年間に100ミリシーベルトの低線量率長期被ばくでも影響の有無は明らかでない」という表現をしています。なお、年間100ミリシーベルトが複数年続く場合については、影響の有無を判断するのに十分な根拠データはありません。ただし、例えばインドのケララ地方の住民調査では、何十年にもわたる被ばくで、積算線量が600ミリシーベルトを超えても、がんの増加が見られなかったという報告もあります(Health Physics 96, 55-66, 2009)。

(追記:平成24年4月23日)

http://jrrs.kenkyuukai.jp/special/?id=5556#Q35

今回のIAEAの提言を日本政府は受け入れる方向です。この日本放射線学会の記事からも、また福島の復興のためにも、この決定は原則的に正しいものではないでしょうか。(三浦)